薬剤師の話

薬剤師が考える、薬剤師がすべき心不全療養指導

心不全療養指導士

来年2021年春から心不全療養指導士の認定制度が開始となりました。

心不全療養指導士は、心不全の発症・重症化の予防を目的とした療養指導をするための資格であり、多くの専門職の取得が期待されています。

心不全療養指導士の資格は看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、栄養士、薬剤師、臨床工学技士、公認心理士、歯科衛生士、社会福祉士のいずれか国家資格があり、心不全療養に従事している者であればとりあえず受験資格があります。(学会入会、症例報告などもありますが)

 

日本の超高齢化社会の進行に伴い、加齢性疾患である心不全の患者も増加していくことが予測されます。そのため心不全患者を支援し、患者とその家族の生活の質(QOL)を維持していく必要があります。これには多くの専門職がそれぞれの専門性を活かしチーム医療を実施していくことが重要です。

心不全療養において急性増悪を減らすことが重要ですが、この増悪は食事、過労、怠薬など非医学的誘因が多いです。心不全増悪の第3位に服薬の不徹底があり、服薬アドヒアランスの改善は薬剤師が行なっていくべきだと考えます。

心不全チームに薬剤師が介入したことで入院期間が短縮されたという報告もあり、より一層薬剤師がチームに参加することが求められています。

 

しかし心不全チームの中で薬剤師がするべきことはいまいちピンとこない方が多いと思います。

私は500床以上ある総合病院の循環器病棟に配属されており、日々心不全治療の一員として働いています。そんな私が心不全チームで求められる薬剤師の役割について説明したいと思います。

①服薬状況確認

心不全患者の長期予後を改善する薬剤があり心不全患者のほとんどがそれらの薬剤を内服しています。ACE阻害薬 or ARB、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬、SGLT2阻害薬がそれにあたりますが、これらの薬剤は可能な限り内服の継続が推奨されています。

しかしこれらの薬剤は血圧や脈拍、検査値によって増減・中止をしなければいけないことが多く、適切な量で内服継続がされていない場合があります。

そのためバイタルや検査値から適切な薬剤の用量なのか、継続可能な薬剤が投与されているのかの確認が必要になります。

また心不全患者は高齢かつ心不全以外の疾患を患っていることが多く、そのため多くの薬剤を内服しています。これをポリファーマシーと呼びますが、多くの薬剤を内服しているほど相互作用のリスクが上がります。そのため相互作用の確認が必要であり、それに伴う副作用の出現にも注意しなければいけません。

 

②患者教育

心不全患者の多くは高齢者であり多数の薬剤を飲んでいることがほとんどです。そのため内服薬の管理が難しくなり、内服忘れ、誤投与などのリスクが高いです。

服薬アドヒアランスの向上を目指し患者教育をしていく必要がありますが一包化、お薬カレンダーなど、服薬するにあたっての工夫が必要になる場合もあります。また患者自身での管理が難しい場合、家族への指導も必要になる場合もあります。

入院中であれば主に看護師が配薬など内服の介助を行えますが、退院後は訪問看護など社会資源がない限り、自己もしくは家族が服薬管理をしなければならないため、より患者教育は重要です。

 

③薬々連携

入院中であれば病院の薬剤師が服薬状況の確認や患者指導が可能ですが、退院した後に関しては病院薬剤師は関与できません。そのため院外薬局の薬剤師の協力が必要ですが、院外薬局の薬剤師は充分な患者情報を得るのが業務上難しいです。

これにはお薬手帳の活用が有効的であり、入院中に変更・追加した薬剤、検査値、副作用・アレルギー歴などをお薬手帳に記載し、院外薬局の薬剤師に情報提供することで切れ目のない服薬状況の確認、副作用のモニタリングなどが可能となります。

 

まとめ

心不全療養において重要なことは発症・増悪の予防のためのセルフケア継続の支援をしていくことです。心不全は発症、回復を繰り返すので、一度回復すると「次また発症しても大丈夫」と勘違いされますが、心臓の能力としては徐々に悪くなっていきます。

徐々に悪くなっていく心機能ですが、これはセルフケアの継続により急激な悪化を予防できます。薬剤師も服薬アドヒアランスの向上に関しては特に大きく貢献でき、これによりセルフケアの継続を支えることが可能です。また水分塩分制限などのセルフケアに関しても薬剤師が指導できることであると考えられます。

薬剤師も専門性を活かしていくことで心不全患者の支援ができ、チームの一員として求められています。

 

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