「病院薬剤師ってあまり病院で見かけないけど何してるの?」
「病院薬剤師の1日はどんな感じなの?」
この疑問にお答えすべく、病院薬剤師の仕事の例として、私の1日を紹介します。
とある病院薬剤師のスケジュール
ざっとこのような感じです。
これらの業務の間には、医師・看護師など他職種からの相談応需や、薬剤師から医師に対して疑義紹介などを行っています。
病棟薬剤師が教える、⑥つの業務。
①患者情報収集、準備
入院してくる患者さんや、現在入院している患者さんの情報を電子カルテで確認します。
入院してくる患者さんは何を目的に入院となったかを確認します。目的によって薬剤師も考えることが変わってくるためです。例えば手術目的であれば血をサラサラにする薬を飲んでないかなどを確認する必要があります。
入院している患者さんには新規に薬が追加・開始されることがあるので処方を電子カルテで確認をしています。新規薬が適切な用法用量で処方されているのか、既に内服している薬と相互作用がないか、そもそも新規薬は患者さんが内服しても良いのかなど確認しています。また新規薬の服薬指導をするための準備をしています。
②薬剤業務(セントラル業務)
薬剤業務には調剤業務、製剤業務、混注業務などがあり、私は主に調剤業務をしています。調剤業務では内服剤・注射剤などを調剤し、入院患者さんへ薬の払い出しをしています。(外来患者さんへの払い出しもしばしばあります。)
この調剤業務でも、個々の患者さんに正しい用法用量で処方されているか確認しており、必要あれば医師に疑義照会をしています。
③持参薬確認、入院患者面談
入院してくる患者さんの持参薬を確認します。入院の原因となった疾病に関わらない薬剤も飲んでることがあり、医師が認識していない可能性が高いです。それらの薬を薬剤師が確認し医師に伝達しています。
入院患者面談をすることで実際の患者さんの内服方法や、健康食品・サプリメントの有無、副作用・アレルギー歴を確認できます。医師の指示通り内服していない場合も多々あり、必要があれば内服方法を修正します。この時、服薬アドヒアランス(積極的な治療参加)を評価し、入院後の内服薬の管理方法を考えています。
④服薬指導
患者情報収集で説明の必要がある薬剤、患者さんが見つかれば服薬指導を行います。医師・看護師から依頼されることもよくあります。
薬の説明書を用いて服薬指導を行います。効能効果、用法用量、副作用などの説明をしていますが、患者さんの理解度に合わせて説明の仕方を変えています。説明内容が多すぎると逆に混乱を招く場合があるためです。
⑤カンファレンス
多職種が集まり、より良い治療を提供するため目的や情報の共有をし、互いに連携をしていくための話し合いをしています。
各職種で見ている角度が異なるので考えていることも違います。薬物治療が議題になることがあるため薬剤師も積極的にカンファレンスに参加しています。
⑥記録
1日の中で関わった患者さんの薬剤管理指導記録(通称:薬歴)をSOAP形式で電子カルテ上に記載しています。(実際は隙間時間でも記録していますが、業務の最後まで残っていることが多いです。)
S:subjective (主観的な内容)主に患者さんがお話ししたこと、訴えなど
O:objective (客観的な内容)処方薬、検査値、副作用、アレルギー情報など
A:assessment (分析、評価)上記のことから考えられる薬剤師の見解など
P:plan (計画)今後の計画、問題点の解決方法など
これらの情報を記録することで、他職種が薬剤師との関わりを見ることが出来るし、次回患者さんに関わるときも活かせます。
他職種との関わりとして、看護師からは注射薬同士の配合変化や患者さんの排便コントロールの相談だったり、医師からは薬の用法用量、相互作用の相談などを受けています。
また薬剤師から薬剤に関する注意喚起であったり、薬剤提案などを行なっています。
医師・看護師は診療科が限定されており知識が縦に深いですが、薬剤師の知識は全科にわたるので横に広いです。この特性は薬剤師の強みであると感じています。
以上が薬剤師の1日の仕事になります。ただの1例ですが、病棟を担当している薬剤師の1日はこのような動きになっていることが多いかと思います。
患者さんの遠くにいるように感じるかもしれませんが、薬剤師も患者さんの治療の安全性・有効性に寄与しています。